導入事例

Microsoft Dynamics 365 CRM/Azure OpenAI Service
導入事例

コスモ石油マーケティング株式会社 様

特約店営業の課題を解決するため統合された営業支援システムを構築
各種情報を集約し「特約店」の切り口で提示、生成AIも積極的に活用

コスモ石油マーケティング株式会社 様 特約店営業の課題を解決するため統合された営業支援システムを構築、各種情報を集約し「特約店」の切り口で提示、生成AIも積極的に活用

課題

  • 営業活動におけるPDCAが一元管理されていなかった
  • 各上長によって営業担当のマネジメントに差があった
  • 取引先に関する情報が集約されていなかった

効果

  • 営業活動に関する各種情報を集約し「特約店」のビューで参照可能になった
  • 必要な情報が集約されているため、人事異動などの際の引き継ぎが効率化された
  • 生成AIによる営業報告サマリーで、上司の負担軽減や関連部署との情報連携も可能に

導入背景と経緯

営業部門が直面していた4つの課題

「ココロも満タンに」というブランドステイトメントのもと、地球と人間と社会の調和と共生を図り、無限に広がる未来に向けた持続的発展を目指しているコスモエネルギーグループ。その中で石油製品などの販売を担当しているのが、コスモ石油マーケティング株式会社(以下 コスモ石油マーケティング)だ。国内に約2,600店のサービスステーションを展開し、ガソリンや灯油、軽油、重油などの燃料油販売を手掛けるほか、コスモMyカーリースや車両販売、レンタカー、コスモでんきの販売なども手掛けている。

コスモ石油マーケティング株式会社 営業企画部長 藤本 一臣氏
コスモ石油マーケティング株式会社
営業企画部長
藤本 一臣氏

「サービスステーションの約8割は地域ごとに契約している特約店です」と説明するのは、営業企画部長を務める藤本 一臣氏。その数は約200社/約2,000店舗に上っており、コスモ石油マーケティングの営業担当者が燃料油を卸すだけではなく、他の取扱商品のプロモーション提案なども行っているという。「以前は各エリアに5つの支店があり、各支店の裁量の範囲内で、個別に営業活動を行っていました」と藤本氏は語る。

ここで直面していた課題は大きく4つあったと藤本氏。第1は営業活動におけるPDCAの一元管理がなされていなかったということだ。行動計画と実際に行った営業活動の記録が別々に管理されていたからである。

第2は各上長によって、マネジメントに差があったこと。営業担当のマネジメントは、各上長のマネジメントスキルに頼る部分が大きかったのだ。
第3は、取引先に関する情報が集約されていないこと。取引先に関する情報は、各種システムに散在した状態だった。
そして第4が、PCを使った業務が多く、移動時間を有効活用できていないことである。

これらの問題を解消していくため、2023年4月に営業組織の改定を実施。5支店制だった営業組織を、本社直轄・全国8オフィス制へと移行した。これと並行して、情報基盤の強化に向けた取り組みも進められていったのだ。

フェーズ1:Dynamics 365による営業支援システムの構築

マイクロソフトが強く推したシーイーシー

コスモ石油マーケティング株式会社 営業企画部 人事総務グループ 岩田 茉莉氏
コスモ石油マーケティング株式会社
営業企画部 人事総務グループ
岩田 茉莉氏

「構想策定は2020年度から着手しており、まずは営業担当者の負荷を減らすために、業務上のムダを洗い出すところからスタートしました」と語るのは、営業企画部 人事総務グループの岩田 茉莉氏。2021年度には、簡易的な機能を実装したシステムでの実証実験も行っていたと振り返る。「このときはマイクロソフト以外のCRMサービスで実証実験を行いましたが、最終的に実装したい機能に対する総額費用を考えると、本番実装には至りませんでした」と岩田氏は語る。

その後、それまで営業担当者が直接特約店に持参していた各種文書をオンラインで提供できる、特約店向けの文書発信サイトをスクラッチで構築。その次の段階として取引先管理を実現するにあたり、Dynamics 365を提供するマイクロソフトへと相談を持ちかけている。営業支援の情報基盤としてDynamics 365に着目した理由について、藤本氏は次のように説明する。

「すでに活用していたMicrosoft 365との親和性が高く、当社の基幹システムなど他システムとの連携も容易だと判断したからです。また、他社サービスに比べてライセンス料が安価なことも重要なポイントになりました」

その一方で「マイクロソフトの担当者は、当社の課題や目指したい方向性などを、親身になって聞いてくれました」と言うのは岩田氏。その中で導入パートナーとして紹介されたのがシーイーシーだったという。

「2022年9月に初めてシーイーシーとオンラインでミーティングを行いましたが、IT部門からの技術的な質問にも即座に回答できるだけの知識があり、これなら安心して任せられると感じました。またマイクロソフトからも強く推されていたことも評価しました」

各種情報を「特約店ビュー」に集約

2022年12月にはシーイーシーの採用を決定。まずは営業担当の業務内容への理解を深めた上で、Dynamics 365の実装方法の検討などが進められていった。2023年7月には導入プロジェクトをスタート。この時点ですでに、Dynamics 365をどのように活用するかが見えていたと岩田氏は言う。

ここで実装された機能は大きく3つある。第1は営業報告の集中管理。第2は特約店に対する行動計画と実行結果の管理。第3が特約店の切り口で各種情報を見ることができる「特約店ビュー」だ。また、PCからだけではなくモバイル端末からの利用も可能にしている。

これらの機能を持つ「営業支援システム」を2024年5月にリリース。それまで複数のシステムで管理されていた基本となる営業関連情報が集約され、過去と現在の状況を1つの画面で把握できるようになった。その活用イメージについて、岩田氏は次のように説明する。

「まず営業担当者が年度初めに各取引先(特約店)に対する行動計画を立案し、Dynamics 365に登録。その後、営業活動を行う中で、取引先単位での営業報告をDynamics 365の中で行います。さらに、年度初めに立案した行動計画と営業報告の紐づけや、営業報告同士の紐づけを実施し、営業活動のPDCAをより明らかにしていきます。この他にも取引先のメニューから、各取引先の行動計画や営業報告、慶弔などの情報を確認可能。中途入社や定期異動などで新たに配属された営業担当者にも、取引先の情報が把握しやすくなっています」

ただし現在(2024年12月)はまだシステムが動き出して半年程度ということもあり、主に営業報告などの情報蓄積が行われている段階だとも言及。他の機能の本格的な活用は、これから実施していくことになるという。

フェーズ2:生成AIを活用した営業報告のサマリー/レビュー機能の実装

情報集約で浮き彫りになった新たな課題

コスモ石油マーケティング株式会社 営業企画部 人事総務グループ長 福留 詩乃氏
コスモ石油マーケティング株式会社
営業企画部 人事総務グループ長
福留 詩乃氏

ここで注目したいのが、Dynamics 365による「営業支援システム」の構築を進めていく中で、新たな課題が浮き彫りになっていったことだ。その1つが、営業報告の情報量がかなり多く、これを読む上司の負荷も大きいということである。

また、営業報告の書き方が営業担当者によってまちまちだということも、あらためて確認されることになった。以前は各エリアの支店ごとにマネジメントが行われていたこともあり、報告ルールが明確になっていなかったのである。

「5支店制から本部直轄制へと移行したことで、上司が東京、営業担当者が東京以外の地域にいる、といった状況が多くなり、上司による指導を徹底することも難しくなりました」と言うのは、営業企画部で人事総務グループ長を務める福留 詩乃氏。これによって営業担当者による報告スキルのばらつきが、今後さらに大きくなる危険性もあると指摘する。

これに加えて「報告のタイミングにも明確な基準やルールがありません」と言うのは藤本氏だ。報告の分量に差が出るのは、各営業担当者が思い思いのタイミングで報告をしていることも関係しているのではないかと述べる。

「個人的には、特約店訪問の後すぐに報告するのがいいと考えています。訪問時に特約店の方がポロッと言ったことが、後々のビジネスチャンスにつながることも少なくないからです。報告までの時間が長引けば、このような情報が漏れてしまう危険性があります。できるだけスピーディに、気軽に報告できる仕組みが必要です」

これらの課題を解決するためにシーイーシーが提案したのが、生成AIであるAzure OpenAI Serviceの活用だ。その後、読む側の負担を軽減するためのサマリー機能と、営業報告の品質を一定レベルに保つためのレビュー機能を、生成AIで実現していくことになったのである。

Dynamics 365による「営業支援システム」の概要イメージ
Dynamics 365による「営業支援システム」の概要イメージ

検証を行った上で2つの機能を実装

まず2024年3月に、営業報告のサマリー機能の検証に着手。実際に営業担当者が書いた営業報告のサマリーを生成させ、それを複数の人に見てもらいながら、改善を進めていった。その上で、上司に対するサマリー報告機能に加え、営業以外の部署に対するサマリー報告機能も実装されたのである。

これについて「『コスモMyカーリース』や『コスモでんき』の販売には専門知識が必要になるため、そのための専門組織が設置されています」と言うのは福留氏。特約店に適切な提案を行うには、このような専門部署と営業担当者との連携が必要になるが、営業から専門部署への情報提供はこれまであまり行われてこなかったという。

「サマリー機能で営業報告の内容を専門部署に渡すことができれば、地域でどのようなニーズがあるのかをフィードバックしやすくなります。もちろんこれまでも特約店から強い要望があれば対応していましたが、サマリーされた情報を共有することでもっとフットワークが軽くなり、新たなビジネスの種が拾いやすくなるはずです」

サマリー機能の実装がうまくいきそうだと確認した上で、2024年10月にはレビュー機能の開発にも着手。これは、営業報告の内容を生成AIが読み込み、情報に不足がないか、フォーマットは適切か、といったことを判断するものであり、2025年2月にリリースされた。

「営業報告のルールやフォーマットはこれから決めていくことになりますが、生成AIが営業報告をどのように読み取ってくれるのかを知ることで、新たな示唆が得られることに期待しています」と福留氏は語る。

シーイーシーへの評価と今後の展望

今後も積極的な支援や提案に期待

このようにコスモ石油マーケティングでは、単にDynamics 365でCRMを導入するだけではなく、生成AIも活用した先進的な営業支援システムを実現しつつある。その中でシーイーシーは、大きな貢献を果たしているという。

「特に生成AIの活用では、私たちに見えていなかった課題にいち早く気づいて提案してくださったことや、検証を実施して効果を確認したこと、当社の中に十分な知見がない中でどのようなプロンプトを作成すれば望む結果が得られるかといったアドバイスをいただいたことなど、さまざまな支援をしていただきました」と福留氏。その結果、前述の機能実装にも不安なく取り組むことができたと振り返る。

また岩田氏も「開発の途中で新たな要望が出てくることもありましたが、シーイーシーはこれらにも真摯に対応し、プラスアルファの開発も行いながら、スケジュール通りにシステムをローンチしてくれました」と語る。

今後はDynamics 365で一元管理すべき情報を順次拡大していくとともに、ユーザー層を広げていくことも検討している。藤本氏は「これからもDynamics 365やAzure OpenAI Serviceに関する豊富な知見を持つシーイーシーに、積極的なご支援やご提案をいただきたいと考えています」と語った。

コスモ石油マーケティング株式会社 様
コスモ石油マーケティング株式会社

設 立 :
2015年2月6日
本 社 :
東京都港区芝浦1-1-1
資本金:
10億円
従業員数:
232名(2024年3月31日現在)
事業内容:
石油製品販売、カーリースなど
URL :
https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/company/group/cosmo-com.html

1986年4月に、大協石油株式会社、丸善石油株式会社、旧コスモ石油株式会社(精製コスモ)の3社が合併し、コスモ石油株式会社が発足。2015年に持株会社体制へと移行し、石油製品販売などの事業をコスモ石油マーケティング株式会社が継承している。同社はコスモエネルギーグループが手掛ける燃料用ガソリン・灯油・軽油・重油などの石油製品の販売に加え、カーリースや電気など、幅広い事業を展開。これらを通じて法人・個人の顧客と密接につながりながら「ココロも満タンに」を追求し続けている。

※製品名・企業名・役職名など、記載の情報は取材時のもので、閲覧時には変更されている可能性があります。

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