導入事例

Dynamics 365(CRM)
導入事例
株式会社ノーリツ 様
営業マネジメント強化のためMicrosoft Dynamics 365 Salesを導入
UPWARDとも連携し営業現場のさらなる行動変容と活性化を促す
課題
- セルフマネジメントによって営業担当者の行動変容を促したい
- 管理職のマネジメントを強化し、営業活動の戦略性を高めたい
- 営業活動の履歴から方針や政策の展開状況を把握できる仕組みが必要
効果
- 営業活動履歴の可視化で営業担当者の行動変容が進みつつある
- 管理者がデータに基づく「事実」を見ながら、次の一手を指示可能に
- 営業活動の戦略性が高まり、注力製品の販売実績が向上
- 管理者の業務負担軽減や、担当者間の引き継ぎ業務が効率化
プロジェクトの背景・課題
営業現場のマネジメントを支援するためにSFAを導入へ

国内事業統括本部 営業本部 営業企画部 営業企画室
小柳 拓馬氏
「お風呂は人を幸せにする」を創業の原点として、1951年に設立された株式会社ノーリツ(以下 ノーリツ)。創業60周年を迎えた 2011年には「新しい幸せを、わかすこと。」をグループミッションに据え、お湯に関する技術を活かしながら、人と地球が笑顔になる「暮らしの感動」を届けるビジネスを展開している。
「ただしその歩みは、常に順風満帆だったとは言えないものでした」と語るのは、ノーリツ 国内事業統括本部 営業本部 営業企画部 営業企画室の小柳 拓馬氏だ。「2017年には業績が芳しくない時期も経験しています」。
当時は営業担当者の活動を定量的に把握する手段がなく、営業現場への方針や政策の展開状況を知ることもできなかったと小柳氏。現場の管理者はデータを元にしたマネジメントに苦労しており、また、営業担当者自身も行動の振り返りができず、重点課題に注力できていないという問題点もあったと語る。
「ガス給湯器の流通構造は複雑で、営業の訪問先もガス会社様や販売店様など、多岐にわたります。顧客接点をこれまで以上に強化するには、営業活動の履歴をきちんと記録し、管理職のマネジメント強化につなげていくとともに、セルフマネジメントによって営業担当者の行動を変容していくことが求められていました」。
しかしながら、そのためのシステムがないため、営業活動の履歴は個々の営業担当者がスプレッドシートや紙の手帳で管理。情報共有は主にメールのやり取りで行われており、情報の属人化が進みやすい状況だったと小柳氏は振り返る。「各営業拠点で実際にどのような活動を行っているのかは、営業担当者本人とその直属の上司しかわかりませんでした。この状況を変えていくには、デジタル化が必須だと感じていました」。
そこでノーリツは2018年5月に、SFAの導入検討に着手。2018年秋には、国産のCRM/SFA製品による最初のトライアル導入を実施する。この時は、他システムとの連携に問題があり、正式導入が見送られることになる。
2019年夏には海外製品のトライアル導入を実施。この時には、導入製品のユーザーインターフェースがノーリツ社員にとって見慣れないものであり、営業担当者が使いこなせないのではないかとの危惧が噴出。SFA導入プロジェクトは再び壁に直面することになる。また、最初からすべての機能を導入する必要があったため導入コストが高く、十分な費用対効果を得ることが難しいのではないかという指摘もあった。
Dynamics 365を選択した理由
難航する状況を打開するきっかけになったのが、マイクロソフトへの相談だった。2019年10月にマイクロソフトのホームページにあるチャット機能で、SFAに関する質問を入力。これに対してマイクロソフト側がDynamics 365 Salesを提案、導入パートナーも紹介したのである。その後、複数回のミーティングとフィット&ギャップ分析、営業本部スタッフによるトライアルを経て、2020年5月に導入を決定。その理由は大きく3つあったと小柳氏は説明する。
導入までの道のり

そのポテンシャルをさらに引き出すため、2023年5月には「UPWARD」を導入。
採用した第1の理由はシンプルでわかりやすい操作性だ。「これならITシステムに不慣れな営業担当者やマネジャーでも、短期間で使いこなせる」と評価された。
第2の理由は柔軟なライセンス体系。使用する機能に応じて料金が設定されているため、「最初は最低限の機能でスモールスタートする」といったことが容易となる。
そして3つ目の理由が、Microsoft 365との親和性である。ノーリツではこの頃、社内の情報共有基盤をMicrosoft 365へと移行するプロジェクトが進められており、これと連携できることも採用を後押しした。
2020年6月には東京支店への導入を開始。営業本部スタッフでのトライアル後、営業拠点におけるトライアルが行われた。その結果を受け、全国展開しても問題ないと判断。2020年9月には全国展開が実施されている。
ベンダー選定の決め手
豊富な知見とサポート体制を評価しシーイーシーをパートナーに

サービスインテグレーション事業本部 営業部
松川 剛士
Dynamics 365の導入パートナーとしては株式会社シーイーシー(以下 シーイーシー)を選択。その理由について小柳氏は、マイクロソフトに紹介されたことに加え、製造業が抱える課題やDynamics 365に関する豊富な知見を備えていることと、サポート体制がしっかりしていることを挙げる。
導入チームメンバーの1人であるシーイーシー営業部の松川 剛士は、「今回のDynamics 365導入で特に配慮したのは、目先の効果を追うのではなく、中長期的な視野で提案を行うことです。また、導入および構築を行うだけではなく、その後の運用保守まで継続的にサポートできる体制の確立も意識しました」と語る。
「実際に松川さんを中心に、各分野の専門家が参加するチームを編成し、当社の中期経営計画資料やIR情報も視野に入れながら、システム連携などを提案してくれました」と小柳氏。「シーイーシーのようなパートナーの存在も、Dynamics 365の大きな魅力だと感じています」という。
導入効果
営業担当者の行動が変容、営業活動の戦略性も高まる
その後、Dynamics 365の導入によって、どのような効果が得られているのか。まず注目したいのが、営業活動の履歴が可視化されたことで、営業担当者の行動変容が進みつつあることだ。
販売実績が不十分な場合には活動内容を見直す必要があるが、過去の活動履歴や他の営業担当者の活動内容を参照することで、どこを見直すべきなのかがわかりやすくなった。もちろんマネジメントも変革されつつある。管理者は勘や経験ではなく、データに基づく「事実」を見ながら、次の一手を指示できるようになっているのだ。
Dynamics 365のダッシュボード

営業活動の履歴を可視化することで、営業担当者の行動変容が進みつつある。またマネジャーも勘や経験ではなく、データに基づく「事実」を見ながら、次の一手を指示できるようになっている。
加えて、方針や政策の展開状況が、営業活動から定量的に把握できるようになったことで、戦略性も高くなっている。その効果の1つとして小柳氏が挙げるのが、ノーリツの最上位機種である「プレミアム給湯器」の販売実績が向上していることだ。
「これは2017年に発売したものですが、当初は販売数がなかなか増えない状況が続いていました。しかしDynamics 365を導入してからは、方針や政策の展開状況が把握できるようになり、適切な打ち手と営業の行動変容が相まって、販売数が毎年1.5~2倍になりました」。
そしてもう1つ見逃せないのが、マネジャーの業務効率化である。以前は営業担当者から日報を集め、それをまとめて週報を作成する必要があった。現在は、Dynamics 365に活動履歴が集約され、そのフォーマットも統一されたことで、この作業負担が大幅に低減しているのだ。また営業担当者が替わる際の引き継ぎも容易になった。過去の活動履歴がすべてまとまっているため、新任者はそれを見るだけで前任者の活動内容を把握できるからである。
「UPWARD」とも連携しさらなる行動変容へ
このように大きな成果を見せているDynamics 365だが、ノーリツはそのポテンシャルをさらに引き出すため、次の取り組みをスタートしている。それは、セールスイネーブルメントツールである「UPWARD」とDynamics 365との連携だ。
UPWARD株式会社が提供する「UPWARD」は、営業担当者が持ち歩くスマートフォンやタブレット端末を通じて、訪問先や関連情報を地図表示するとともに、滞在場所や滞在時間の自動記録、日報入力の簡略化なども可能にする製品。UPWARDで取得した顧客接点情報は、自動的にDynamics 365に連携、蓄積されていく。
導入検討を開始したのは 2022年5月。その最大の目的は、営業の行動変容をさらに促すことだと小柳氏は語る。「UPWARD株式会社から『営業担当が重点課題に継続的に取り組むことができるように、仕事をゲーム感覚で取り組めるものに変えることで、結果的に成果につながる』という提案をいただきました。これに共感し、2022年10月に導入を決定、翌年5月に展開しています」。
シーイーシーはこの決定に即座に対応し、UPWARD導入のための専任チームを編成。UPWARDの活用を短時間で開始できる体制を整えた。
「シーイーシーとしてもUPWARDの導入は、Dynamics 365活用の望ましい姿だと考えています。シーイーシーでは『Convergent』というブランドで、Dynamics 365活用を促進するオリジナルテンプレートを提供していますが、2023年1月にはこれと連携するソリューションの1つとしてUPWARDを採用しています」(松川)。
重点顧客の攻略で戦略製品の販売台数が1.5倍に

訪問すべき重点顧客が地図上に表示され、訪問履歴も地図上で可視化されることで、営業担当者はゲーム感覚で重点顧客を攻略するようになっている。
UPWARDとの連携によって、営業担当者の行動はさらに変容している。その具体的な効果として挙げられたのが、ハイブリッド給湯器の販売実績だ。以前はなかなか成果を上げることができなかったが、その最大の理由は、営業担当者は「自分が行きやすい顧客を訪問」する傾向が強いためだった。
UPWARDのアプリを使えば訪問すべき重点顧客が地図上に表示され、訪問履歴も地図上で可視化される。その結果、ゲーム感覚で重点顧客を攻略するようになり、販売台数を前年比で1.5倍に増やすことができたのだ。
自分が行きやすい顧客を訪問しがちというのは、他の製造企業にも共通する課題だ。しかし、地図に訪問先を表示させることには、営業の行動変容を促す大きな心理的効果がある。直感的に優先順位を判断し、効率的に営業活動を実施できるようになるからだ。ノーリツと同様の効果は、他のお客様のケースでも見られている。
またUPWARD社が2023年7月に「UPWARD CONNECT」をリリースし、Microsoft Teamsとの連携を強化していることも、高く評価されている。営業担当者がUPWARDから入力した顧客接点情報がTeamsにも自動投稿されることにより、営業部門内のコミュニケーションがさらに活性化でき、Dynamics 365のユーザー以外との情報共有も促進できると期待されている。
プロジェクトへの評価と今後の展望
実践を積み重ねることで次のチャレンジにつなげる

国内事業統括本部 営業本部 営業企画部 営業企画室 室長
吉川 徹氏
最後に「これまでの取り組みは経営層からも理解されており、期待値も高くなっています」と語るのは、ノーリツ 国内事業統括本部 営業本部 営業企画部 営業企画室で室長を務める吉川 徹氏だ。その最大の理由は、スモールスタートが容易なDynamics 365を採用し、着実に成果を上げてきたからだという。
「机上の議論ではなく、とことん本気で取り組んできたことで、マネジャーや営業担当者にも『新しいことをしている』という実感が生まれています。今後も実践によって成果を上げながら、次のチャレンジにつなげていきたいと考えています」。

株式会社ノーリツ

- 代表者 :
- 代表取締役社長 腹巻 知
- 設 立 :
- 1951年3月
- 資本金:
- 201億6,700万円
- 事業内容:
- 温水空調分野を中心とした住宅設備機器の製造、販売、サービス事業
- URL :
- https://www.noritz.co.jp/

戦後の復興期である1951年に設立。日本のお風呂文化を広めるとともに、人々の生活水準向上を目指し、給湯機器やガスコンロなどの厨房関連商品を幅広く提供している。創業60周年を迎えた2011年には「新しい幸せを、わかすこと。」を新たなミッションに掲げ、世界中の人々と地球環境に役立つビジネスを推進している。
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