導入事例

Dynamics 365
移行事例

リコーリース株式会社 様

Dynamics CRMからDynamics 365へのシステム移行で営業活動の効率化とビジネススピードが加速
リモート開発で、スムーズなクラウドシフトを実現

課題

  • オンプレミスのSFA(営業支援システム)では対応しきれない営業部門・営業現場のニーズに応えたい
  • Microsoft 365とのシームレスな連携で、重複する業務を削減したい
  • 限りある人的リソースを活用するため、オンプレミスの保守業務から解放されたい
  • 行動が制限されるコロナ禍においても、オンプレミスからのクラウド移行プロジェクトを円滑に進めたい

効果

  • Dynamics 365へのクラウドシフトにフルリモート作業で成功
  • バージョンアップの手間なく、常に最新技術・最新機能を取り込んだSFAを構築
  • 他のMicrosoft製品との極めて高い親和性により、業務効率を大幅に改善
  • 守りの保守業務から、攻めの企画開発業務へ人的リソースをシフト

プロジェクトの背景・課題

多様化する営業部門からの要望に応えるSFAの構築

リース&ファイナンス事業、サービス事業、インベストメント事業の3つの事業セグメントで事業展開を行うリコーリース株式会社。中小企業中心の顧客基盤を持ち、取引社数は40万社に及ぶ。日本の企業10社に1社が、同社との取引実績があるという、まさに日本の経済を支える企業である。

リコーリース株式会社 BPT本部 情報システム部 フロントシステム課 松山 勇輝 氏
リコーリース株式会社 BPT本部
情報システム部 フロントシステム課
松山 勇輝 氏

膨大な顧客情報を抱える同社では、オンプレミスのDynamics CRM(Microsoft Dynamics CRM Server 2011)によるSFA(営業支援システム)を運用してきた。「2014年からDynamics CRMを運用し、システムの利用が社内に浸透していました。SFAとして十分な機能を果たしていましたが、ビジネス環境の変化とともに、営業部門から新たな要望がたくさん寄せられるようになりました」。そう語るのは、リコーリース株式会社 情報システム部の松山氏である。

リコー製品を主として、さまざまな業界のベンダーの販売支援を手掛ける同社では、これまでは取引先との商談やリース契約に関する書類の取り交わしなどを営業が対面で行ってきた。しかし、コロナ禍においては対面での商談や契約が難しくなり、オンラインやリモートでの対応が必須となっていたのである。

リコーリース株式会社 事業統括部 事業統括室 髙梨 諒 氏
リコーリース株式会社 事業戦略本部
事業統括部 事業統括室
髙梨 諒 氏

「今までは、営業担当がお客様を訪問して、契約書の取り交わしをするのが当然でした。ですが、昨今の社会情勢では、お客様との接触を避け、契約書の取り交わしを業務部門が直接お客様に案内する機会が増えてきたのです」。そう説明するのは、事業統括部の髙梨氏である。

営業を介さずに顧客がダイレクトにリース利用の申し込みを行い、業務部門が受け付けるといったケースを想定し、契約書管理・期日管理の情報もSFAで管理され、関係者が必要に応じて利用できる仕組みになっていることが必要だ。このように、従来のSFAにはない機能や利用範囲の拡大を求める声が増していったのである。また、2019年にメールシステムをOffice 365からMicrosoft 365に移行した際、Dynamics CRMとの連携がうまく図れないという製品間の連携の不具合も起きていた。

Dynamics 365を選択した理由

「以前は、SFAに入力した営業日報が自動でOutlookのスケジュールと連動していたのですが、Microsoft 365への移行以来、連動ができない状況になっていたのです。わざわざスケジュールを手作業で登録する必要があり、営業部門に負担をかけている状況がありました」(松山氏)。

そこで松山氏が在籍する情報システム部では、思い切った環境の再構築を検討することになる。既存のオンプレミス環境のまま、バージョンアップによって新たな機能を追加するほか、Outlookとの連携を図る方法もあったが、検討の結果オンプレミスからクラウドへの移行が決定する。「営業部門からの多様な要望に応えるには、バージョンアップの手間がかかるなど、オンプレミスでは不向きな点がありました。一方、バージョンアップの手間がなく、新機能を常に使えるクラウドであれば、営業部門の要望にも柔軟に対応でき、大幅な業務効率の改善が図れるのではないか。そう考えて、クラウドへの移行を決定しました」(松山氏)。

他社のクラウド型SFAとも比較検討した結果、最終的に候補として選ばれたのが、Dynamics CRMのクラウド版であるDynamics 365への移行だった。「Dynamics 365を選んだ理由は、いくつもありますが、社内ではすでにDynamics CRMの利用が定着していたため、その使い勝手や活用ノウハウを活かしながら移行すべきだと考え、総合的に判断して最終決定しました」(松山氏)。

Dynamics 365を選択した理由

  • ・従来のDynamics CRMと違和感のない操作性、ユーザーインターフェース
  • ・OutlookなどMicrosoft製品との極めて高い親和性
  • ・将来的なMicrosoft Power Platformとの連携、拡張性の高さ

製品やベンダー選定の決め手

信頼できるパートナーとして選ばれたシーイーシー

オンプレミスからクラウドへの移行が決定したのは、2020年11月のこと。まずは詳細な要件定義からスタートしなければならないなか、開発を任せるパートナーに選ばれたのが、株式会社シーイーシー(以下 シーイーシー)であった。

「シーイーシーとは、Dynamics CRMの導入時からパートナー関係です。導入以来、ずっと運用・保守をお任せしてきましたから、さまざまなノウハウをお持ちであり、当社の社内事情にも詳しいことから、引き続きパートナーとして開発を依頼することにしました」(松山氏)。

株式会社シーイーシー サービスインテグレーション 事業本部 営業部 小枝 悠真
株式会社シーイーシー
サービスインテグレーション
事業本部 営業部
小枝 悠真

シーイーシーは開発だけでなく、要件定義の段階からプロジェクトに参画し、展開のサポート業務、マニュアル作成の補助など、多方面で支援することになる。「長年にわたる信頼関係があるリコーリース様とシーイーシーですが、今回のプロジェクトに際して、まったく不安がなかったわけではありません」。そう語るのは、シーイーシー 営業部の小枝。

今回のプロジェクトにおけるシーイーシーの窓口として調整役を担っていた小枝。彼の頭を悩ませたのが、昨今の社会情勢の影響を受けて、経験のない条件下での開発が求められたことであった。

フルリモート環境での開発プロジェクト

「今回のプロジェクトで唯一の不安材料だったのが、コロナ禍の真っただ中での開発であったことです。我々にとって初となるフルリモートでの開発プロジェクトとなり、どうなるか先行きが読めない状態でした」(松山氏)。

同様に、フルリモートでの開発はシーイーシーにとっても初めてのこと。いかにしてスムーズに、スケジュール内でクオリティの高いシステムを開発できるか。そこでシーイーシーが講じた対策は、旧システムであるDynamics CRMの開発、および運用・保守を長年にわたり務めてきた前任者を呼び寄せ、プロジェクトメンバーにしたことであった。

「旧システムの初期導入時の経緯を詳しく知り、リコーリース様の業務内容や要件を熟知した前任者の存在はとても大きく、要件定義の段階から円滑なコミュニケーションを取ることができたと思います」(シーイーシー 小枝)。

また、シーイーシーでは過去200社以上への導入実績、さらにはリース業の顧客への導入実績をもとに、今回のプロジェクトを進める上で想定される懸念点をすべて洗い出し、事前に共有することでコミュニケーションロスを解消。その結果、当初の計画通りに開発は進んでいくこととなった。

数百万件におよぶ顧客データの移行

冒頭でも紹介したように、リコーリース株式会社の顧客数はおよそ40万社に上るが、取引に関するデータはその何倍にも膨れ上がる。同じ顧客であっても複数回にわたる取引実績があるほか、同一企業の別拠点・支店との取引実績などもデータとして蓄積されている。その数およそ数百万件。この膨大なデータを旧システムから新システムに移行できるのか。開発プロジェクトの終盤に、大きな山場がやってきた。

「シーイーシーでは、具体的な移行計画を策定して、1カ月以内のデータ移行を約束しました。まずは、基本となる顧客情報の移行からスタートし、段階的にそれぞれの取引内容や事業所ごとの取引実績などの情報を移行していくという方法です。インポート用のバッチプログラムを専用に開発して、データの種類ごとに日程を区切って実施していきました」(シーイーシー 小枝)。

また、インポート先となる新システムは運用前だったが、旧システムは稼働させながらデータをエクスポートしなければならない。取引情報が更新され続ける状況にあるため、更新日時を決めてデータを移行させるという手法を採用した。こうした点も、これまでに数多くのシステム開発・移行を手掛けてきたシーイーシーならではのノウハウと言える。既存システムを稼働させながらでも、安全にデータを移行させたいという要望にも柔軟に対応できる点が、シーイーシーの強みのひとつである。

導入効果

守りから攻めの業務に

およそ1カ月におよんだデータ移行が完了し、いよいよ新システムであるDynamics 365の運用がスタート。その効果について、情報システム部の松山氏は次のように語る。

「Dynamics 365への移行によって、サーバー管理などの業務から解放されました。オンプレミスは、セキュリティの面で強みがあるなど、それはそれでよい点もあったのですが、安定性の面ではクラウドに軍配が上がります。これまではシステム保守に多くの人的リソースを割いてきましたが、Dynamics 365ではその必要がありません。保守という守りの業務ではなく、企画や開発といった攻めの業務に人的リソースを割けるようになった点は、非常に大きなことだと思います」(松山氏)。

Microsoft Dynamics 365を中心としたシステム構成

Microsoft Dynamics 365を中心としたシステム構成

営業現場で隙間時間の活用が可能に

保守の面で情報システム部のコスト削減が図れた一方で、利用部門である事業戦略本部でも、大きな変化を感じているという。

「オンプレミスの時でも、スマートフォンからシステムを利用できたのですが、ブラウザーでアクセスする必要があるなど、使い勝手は決してよくありませんでした。実際に、営業担当がスマートフォンから利用することはほとんどなかったのが実情です。ですが、今回の移行に伴って、専用のアプリケーションができ、外出先や移動中など営業活動の隙間時間を使って顧客情報や商談情報を入力するようになり、大幅な業務効率の改善が図れました」(髙梨氏)。

隙間時間の利用という営業からの評価に加えて、営業施策を立てる本部からも好評を得ている。Dynamics 365では、新しい情報を入力する機能の追加などが容易にできるため、営業施策の立案や効果分析に欠かせないデータの収集・分析などが今まで以上に高い精度で行えるようになったのである。会社として蓄積された情報資産をより多角的に利用できるようになり、今後さらに新しい形で役立てられていくことに大きな期待が寄せられている。

今後の展望やシーイーシーへの期待

今以上に、Power Platformを使いこなしたい

「今回の移行に伴って導入したPower BIに関しては、さまざまな形で効果を感じているところです。まだまだこれから本格的に活用していく段階にありますが、従来は手作業だったデータの抽出がDynamics 365で自動化され、抽出したデータをPower BIによって可視化することが可能になりました。欲しい情報を検索するのも簡単にでき、今まで以上に営業活動に専念できる時間的なゆとりが生まれています」(髙梨氏)。

(左)リコーリース株式会社
事業戦略本部 事業統括部
事業統括室
髙梨 諒 氏

(中)リコーリース株式会社
BPT本部 情報システム部
フロントシステム課
松山 勇輝 氏

(右)株式会社シーイーシー
サービスインテグレーション
事業本部 営業部
小枝 悠真

また、将来的にはPower Platformが持つその他の機能も順次導入していきたいと考えている同社。ただし、現段階ではまだ具体的な計画を立てていない理由を松山氏は次のように語る。

「Power Platformを使えば、いろいろな業務を自動化できたり、営業効率の改善が図られたりするとは思いますが、まずはPower BIを営業活動に利用する必然性を社員に理解させることが優先事項です。なぜならば、Power BIによるデータの可視化も、Power Platformの利用も、すべては営業自身がデータを入力したり、システムを活用したりすることが前提だからです。入力したデータを可視化し多角的に分析することで、自分の営業活動にこんな風に役立つということに気づきます。また、営業マネジャーが施策を立案したりする際に、可視化したデータがさまざまな形で役立つことを理解できるようになります。そうすれば、自分のために自分でデータを入力したり加工したりする意欲が生まれるはずです。これが理想の展開ですから、現時点ではまずはPower BIの利用を社内に浸透させるところに力を入れていきたいと考えています」(松山氏)。

安定性に優れたDynamics 365は、情報システム部の負担を軽減すると同時に、企画や開発などの建設的な業務に人的リソースを活かすことを可能にする。「当社同様に、人的リソースを有効に活用したい企業にぜひおすすめしたい」とは、松山氏のコメントである。

また、SFAは営業のニーズに応じて開発・カスタマイズする場合もあるが、近年のビジネス環境ではニーズの入れ替わりが早くなる傾向にある。目まぐるしく営業活動が変わるなかでは、オンプレミス環境での対応には限界があると言わざるを得ない。常に最新の機能を利用でき、Microsoft製品とのシームレスな連携を図れる点においても、Dynamics 365への移行のメリットは大きいと言えるだろう。

リコーリース株式会社 様

代表者 :
代表取締役社長執行役員 中村 徳晴
設 立 :
1976年12月
資本金:
78億9686万円
事業内容:
<リース&ファイファイナンス事業>複合機、パソコンなどのオフィス関連機器、医療機器、産業工作機械、計測器などのリース・レンタル事業、法人向け融資、マンションローンなどの貸付<サービス事業>集金代行サービス、医療・介護ファクタリングサービス、リロケーションマネジメント事業など<インベストメント事業>太陽光発電、住宅賃貸・不動産関連
URL :
https://www.r-lease.co.jp/
リコーリース株式会社

リコー製品の販売支援会社として1976年に設立。3つの事業セグメント(リース&ファイナンス事業、サービス事業、インベストメント事業)で事業を展開。中小企業を中心に取引社数は40万社に上り、日本企業の約10%、10社のうち1社がリコーリースの顧客である。

※製品名・企業名・役職名など、記載の情報は取材時のもので、閲覧時には変更されている可能性があります。

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