導入事例

Dynamics 365(CRM)導入事例

古野電気株式会社 様

長年培ってきたお客様独自の営業ノウハウを活かしきる“お客様情報管理システム”の、構築から運用定着までを一貫してサポート。

課題

  • 営業・開発が連携し、事業部全体で取り組む大規模な営業プロセスを可視化することが課題でした。

1948年に世界で初めて魚群探知機を実用化した古野電気株式会社は、優れたセンシング技術、情報処理/情報通信技術を活かして順調に事業を拡大。2000年代に入るとヘルスケア関連機器や車載用GPS受信機の開発などを行い、陸上分野にも進出。陸上部門を管轄するシステム機器事業部では産業用電子機器の開発・製造・販売で、着実に市場を拡大しています。さらなる発展に向けて“お客様情報管理システム(CRM)”の導入を検討した古野電気 システム機器事業部が選んだのは、「Microsoft Dynamics 365」でした。

取締役 システム機器事業部 事業部長 岡本 達行 氏 システム機器事業部 事業管理部 企画課 GNSS・通信ソリューション 担当課長 永田 靖徳 氏
取締役 システム機器事業部 事業部長 岡本 達行 氏
システム機器事業部 事業管理部 企画課 GNSS・通信ソリューション 担当課長 永田 靖徳 氏

導入ポイント/導入効果

一目瞭然のグラフ表示で営業会議の質を変革

蓄積された情報を元に作成されたグラフを確認しながら「求められる次のアクション」を議論する戦略的な会議へと、会議の質的な変化を促進。

現場主導のカスタマイズで使い勝手を大幅に向上

ITの専門知識がなくてもUIなどの簡単なカスタマイズが可能な柔軟性を活かし、“現場に即した仕様変更”を営業の現場主導で実践。

ERPとCRMの連携による調達・生産管理の最適化

CRMに加え、ERPの機能もラインアップしている Dynamics 365の強みを活かしたシステム連携を検討。一貫した情報連携によるQCDの向上に期待。

導入の背景と狙い

営業・開発が連携し、事業部全体で取り組む大規模な営業プロセスを可視化

古野電気株式会社(以下、古野電気) システム機器事業部は、ETC車載器と高速道路側の受信機や、車両の現在地を正確に把握するGPS受信機などを始めとするITS (Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)事業と、ヘルスケア事業を柱としてビジネスを拡大しています。
しかし一方では、1つの課題を抱えていました。それが、「営業案件の管理」です。
特に、BtoBの取引が中心のITS事業は、各社ごとに要望も仕様も異なるために営業活動の期間も長く、管理すべき項目も複雑多岐にわたります。お客様ごとのニーズに応えるソフトウェア/ハードウェアのカスタマイズなどを行うために、営業と開発など複数の部署が連携。新規の案件が成約に至るまでには、2~3年もの時間が必要とされることもありました。こうした営業プロセスを従来Excelで管理してきたのですが「変革が不可欠だった」と、古野電気 取締役 システム機器事業部 事業部長 岡本 達行氏は、説明します。
「ITS事業においては、“商談内容”も“訴求すべき内容”もお客様ごとに異なります。当事業部の成長戦略を描くには、各案件をうまくコントロールして、適切に状況を把握・管理する必要があります。しかし、Excelによる管理では不足しがちな情報をヒアリングや報告業務で補完したりなど、『少数マネジメントで、営業リソースを効率的に活用』の実現に向けて課題が山積でした」

3カ月という短期間でリリース

古野電気株式会社取締役 システム機器事業部 事業部長 岡本 達行 氏
古野電気株式会社
取締役 システム機器事業部 事業部長
岡本 達行 氏

古野電気 システム機器事業部ではCRM導入について、ITパートナーであるシーイーシーに相談。2016年9月に日本マイクロソフトの展示会で共に情報収集を行った2週間後には、パブリッククラウドサービスであるMicrosoft Dynamics 365の採用を決定。
そして、シーイーシーと共に11月から開発を開始すると、2017年1月までのわずか3か月弱で開発が完了。同年2月から、初期利用メンバーを数名に絞ったスモールスタートでの運用が開始され、今日に至るまで順調に活用が進んでいます。
岡本氏は、次のように振り返ります。
「Dynamics 365の導入を即断できた最大の理由は、当社との長年の信頼関係があるシーイーシーと、日本マイクロソフトとの間に、親密なリレーションシップが存在していることにあります。加えて長年にわたるお付き合いの中で『数年前に、ここまで見通していたのかな?』と思わされるほど、ソリューション営業の戦略が素晴らしい。これは、当社の業務を深いところから理解していただけているからこそ、できることだと思います」

導入の決め手と導入効果

独自の営業ノウハウを活かすことができるCRMを求めて、Dynamics 365を選択

古野電気 システム機器事業部にはCRMの導入に際して、「システムありき・外部コンサルタントありきではなく、自分たちが主体となって、自社の営業ノウハウを活かせる柔軟な環境が必要だ」という明確なビジョンがありました。
岡本氏は、次のように説明します。
「今回、他社のSFAを導入するという選択肢もありましたが、私たちが一番大切にしたことは、“当事業部独自の営業ノウハウを活かす”ということです。その点、営業プロセスの標準化を主眼に据えたSFAの場合、私たちのプロセスをシステムに合わせるか、SFA側のコンサルタントと一緒に費用を払いながらカスタマイズするかという選択になります。しかしそれは、どちらも望むものではありません。私たちが求めたのは、膨大なお客様情報を一元管理しながら“使い勝手を柔軟に変えることのできるシステム”でした。加えて最小限のコストで活用ができること。そして、“当事業部独自の営業ノウハウ”に即して、UIや業務プロセスを柔軟に変更して、使い勝手を磨き上げていくことができるシステムであること。これが、私たちの理想だったのです」
Dynamics 365であれば、簡単なUI変更などはITの専門知識がなくても行えます。また、営業プロセスのカスタマイズも可能であるため、「経験豊富な営業たちの独自の営業プロセス」を反映する工夫にも、挑みやすくなっています。

従来の営業レポートを廃止してCRMにデータを集約。「営業会議の質」を改善へ

古野電気株式会社 システム機器事業部 事業管理部 企画課 GNSS・通信ソリューション 担当課長 永田 靖徳 氏
古野電気株式会社
システム機器事業部 事業管理部 企画課 GNSS・通信ソリューション
担当課長
永田 靖徳 氏

数名のユーザーによる活用から始まった古野電気 システム機器事業部のDynamics 365活用は、段階を追って、順調に社内に浸透しています。
一般的にはスモールスタートのまま尻すぼみに終わってしまうケースも少なくありませんが、古野電気では、各部門長や部・課長に従来の「営業レポート」を簡素化して「Dynamics 365にデータを入力すること」を伝え、活用促進を後押ししました。こうしてDynamics 365にデータが集約されたことで「営業会議の質も変わってきた」と、システム機器事業部 事業管理部 企画課 GNSS・通信ソリューション 担当課長 永田 靖徳氏は説明します。
「現在、月次の営業会議の場では紙の資料ではなく、Dynamics 365のダッシュボードを映し出して、グラフ化されたデータを基に議論が交わされるようになっています。以前は、紙資料をベースにした“報告主体”の会議が多かったのですが、今はダッシュボードを見れば数字などが一目瞭然で把握できます。そのおかげで、報告中心の会議から“戦略を議論する会議”になりました。これは大きな変化です」

今後の活用と展望

「失ったビジネス」の情報活用と、ERPとの統合に向けてDynamics 365をフル活用

株式会社シーイーシーシステムインテグレーションビジネスグループ 第二営業部久保 憲一郎 氏
株式会社シーイーシー
システムインテグレーション
ビジネスグループ 第二営業部
久保 憲一郎 氏

明確なビジョンのもとに運用され、着実に成果を上げている古野電気のDynamics 365活用ですが、岡本氏は、現状についての評価を「60点」だと話します。それは、今後への大きな期待の表れでもありました。
「残り40点のうち、変革すべき課題は、“失注した案件”の情報をいかに取り扱うかということです。失ったビジネスのデータから、より多くを学びとり『どうすれば次回は獲得できるのか?』ということが議論できるようになれば、80~90点ぐらいになると思います」
岡本氏はさらに、古野電気 システム機器事業部のビジネスを強力に支えていく基盤として、Dynamics 365をフルに活用していく構想も練っていると話します。
「今は、Dynamics 365を、お客様情報管理システムとして活用していますが、Dynamics 365にはERPのサービスもラインアップされていると聞いています。私たちとしては、ぜひこのERPとお客様情報管理システムを連携させて、営業活動から生産活動まで、シームレスに情報を管理できるようにしたいと考えています。営業が受注の何か月も前からつかんでいる“手応え”を共有していれば、材料調達などで慌てることもなくなるでしょう。営業から製造まで一貫してQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)を向上させていくためには、お客様情報管理からERPまでDynamics 365で統一していくことが有効なのではないかと考えています。本格的な検証はこれからの取り組みとなりますが、より一層の効果が得られることを期待しています」

構築を担当した株式会社シーイーシー システムインテグレーションビジネスグループ 第二営業部 久保 憲一郎は以下のように語ります。
「古野電気様は、常に、どのように活用して成果につなげるかを会社全体で真剣に検討しています。Dynamics 365が効果を出し、今後のビジネスの発展に力添えできるよう、一丸となって進みたいと思っています。」

古野電気株式会社
古野電気株式会社

本 社 :
兵庫県西宮市芦原町9-52
代表者 :
代表取締役社長 古野 幸男
創 業 :
1938年(昭和13年)
設 立 :
1951年(昭和26年)5月23日
資本金 :
7,534 百万円
従業員数 :
2,920名(連結:2018年2月28日時点)
事業内容 :
舶用電子機器および産業用電子機器などの製造・販売
URL :
https://www.furuno.co.jp/
古野電気株式会社

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