導入事例

Dynamics 365(ERP)導入事例

積水化学工業株式会社(中間膜事業部) 様

シーイーシーの全面サポートにより、Microsoft Dynamics AXのグローバル展開をさらに拡大。23拠点へ導入し、さらなる展開と安定稼働を目指す。

日本を代表するグローバル・ケミカルカンパニーの積水化学工業株式会社は、グローバル共通のERPとしてMicrosoft Dynamics AXを採用しており、グローバル23拠点に展開しました。その中、アジア、アメリカ、ヨーロッパへのグローバル展開により、24時間365日Microsoft Dynamics AXの安定稼働という大命題があらためて浮き彫りとなってきました。そこで同社では、日本のヘッドクォーターの運用管理をサポートする監視ツールの開発・導入に取り組みました。

積水化学工業株式会社

プロジェクトの背景

ビジネススピードの確保を目指し Microsoft Dynamics AXをグローバル23拠点に展開

1947年に前身となる「積水産業株式会社」として創業した積水化学工業株式会社(以下、積水化学工業)は、創立70周年目を迎えた今、さらに「100年経っても存在感のある企業であり続ける」ことを目指して成長を続けています。現在、住宅カンパニーや環境・ライフラインカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーを中心に幅広い事業をグローバルに展開しており、北米、南米、アジア、欧州の各地に海外グループ企業を有しています。国内120社以上、海外60社以上にもおよび、日本を代表するグローバル・グループ企業としてビジネスを拡大しています。

グローバルに生産拠点や販売拠点を展開する積水化学工業では、ビジネススピードの確保とIT統制の双方を実現するために、ERPの活用に注力し続けています。2010年にはグローバル共通のERPとしてMicrosoft Dynamics AX 2009を採用し、その後2015年1月には、アジア圏の15社でMicrosoft Dynamics AX 2012への一斉アップグレードを行いました。そして現在では、事業カットの中間膜グローバルERP、エリアカットの北米ERP、アジアERPの3つで構成されるグローバルERPに拡大しています。アジア、北米、中米、ヨーロッパの23社がすでに導入済みであり、中間膜グローバルERPでは新たに2社の導入プロジェクトを進めています。

グローバル運用ならではの課題とは

積水化学工業株式会社 経営管理部 情報システムグループ理事 小笹 淳二 氏
積水化学工業株式会社
経営管理部 情報システムグループ理事
小笹 淳二 氏

グローバルERPの拡大を進めている同社ですが、グローバルでの導入拠点が増えるに従って、運用管理上の課題があらためて浮き彫りとなってきました。ユーザー数の急増に伴い、特に月末月初処理など利用が集中する時期にシステムのパフォーマンスが低下する傾向が見受けられるようになったこと、さらに、すべての地域のビジネスタイムでシステムを稼働しなければならないため、24時間365日の運用管理体制が求められるようになってきたこと、この2つは特に大きな課題でした。とりわけ中間膜グローバルERPは、2016年1月にメキシコ、同年4月に米国の拠点で導入が完了し、2017年1月からは中国の拠点での利用が開始され、近々、タイそして欧州への導入も予定しています。その中、一刻も早く安定した24時間365日稼働を可能とする運用監視体制の確立が急務となっています。

そこで積水化学工業では、24時間365日安定稼働を見据えて、致命的な問題発生を未然に防ぐことができるように、システムの問題点の予兆を発見するための監視ツールの構築に取り組むことにしました。

積水化学工業 経営管理部 情報システムグループ理事 小笹 淳二氏はこう振り返ります。「グローバルで24時間365日運用を行うようになると、日本では深夜であってもシステムが安定して動き続けることは絶対条件です。いつ何時に問題が発生してもシステムを停止することなどできません。万が一、システムが止まるようなことがあれば、ビジネスへのインパクトは計り知れない。我々情報システムグループは10名ほどの体制で、各地域のシステムとIT担当者を管轄するヘッドクォーターの役割を担っていますので、グローバルで利用されているシステムの状態を日本で集中的に監視できるようなツールが必須だと考えました」

開発にあたって

世界でメジャーシェアを占める一大グローバル事業を専用サーバーで一元管理

監視ツールは、中間膜グローバルERPへの導入を最優先しました。中間膜グローバルERPは、専用サーバーで運用されており、グローバル事業の業務標準化と一元管理に大きく貢献しているシステムです。同社の中間膜事業部は、自動車用や建築用などのガラスに挟むことで、さまざまな機能を発揮する中間膜を開発・製造しており、同社内では重要な事業の一つと位置づけられています。例えば、自動車用の中間膜では、日本はもとより、全世界でトップシェアを誇るリーディングブランドとなっています。

中間膜事業は積水化学工業の車輌・輸送分野で屋台骨を担う事業だけに、事業単独でのシステムが構築されるとともに、グローバルでの標準運用・一元管理が進められています。中間膜グローバルERPは、メキシコ、米国、中国に続いて、2017年10月にヨーロッパ、2018年4月にはタイの拠点での導入が予定されています。Microsoft Dynamics AXの導入時より同社をサポートしていた上海の希意禧(上海)信息系統有限公司(以下、シーイーシー上海)が、要件定義から導入までのグローバルテンプレート開発を手がけました。これにより、各拠点への展開がより迅速に対応できるようになりました。また、シーイーシー上海の大きな強みである、Microsoft Dynamics AX導入に関する豊富なコンサル経験を活かし、グローバル共通のテンプレート提供のみならず、アジア・ヨーロッパそれぞれのローカル要件にも対応しました。北米では、ローカル要件のシステム開発を現地ベンダーへ依頼しています。また国内ニアショアセンターである大分シーイーシー株式会社(以下、大分シーイーシー)も開発面では大きく貢献しています。

積水化学工業株式会社 高機能プラスチックスカンパニー 中間膜事業部 部長 高原 徹 氏
積水化学工業株式会社
高機能プラスチックスカンパニー
中間膜事業部
部長 高原 徹 氏

積水化学工業 高機能プラスチックスカンパニー 中間膜事業部の部長 高原 徹氏は、ERPのグローバル展開の狙いについてこう話します。「すでに業務のグローバルでの標準化は進めていましたが、今回はさらに日本から各国に横串を刺して定点管理できるように、国内サーバーへ統合しました。その結果、売掛金の回収管理なども、現地からのアクションを待つのではなく、こちらから積極的に働きかけることができるようになりました」

続けて高原氏は、中間膜グローバルERPの安定稼働の重要性について、「自動車産業のサプライチェーンは世界中に張り巡らされていますので、万が一、システムが停止してしまうと、自動車の供給も止まってしまうことになります。当社としてはそのような事態は絶対に避けなければなりませんから、情報システムグループには、システムの安定稼働への期待もありました」とコメントします。

シーイーシー本社に、監視ツールのスピード開発を依頼

Sekisui rEsponse Measuring Tool
※画像クリックで拡大表示します

こうした背景から積水化学工業は、自動テストソフトウェア「AXeptance」をベースとした監視ツールの方式設計・開発を、2016年12月に、株式会社シーイーシー(以下、シーイーシー)へ依頼しました。新しいグローバル監視ツールの名称は、「SEMT(Sekisui rEsponse Measuring Toolの略称)と決まり、翌年1月4日に開発プロジェクトをキックオフさせました。

シーイーシーに開発を依頼した理由として小笹氏は、2004年から続いているシーイーシー上海との信頼関係がある中、シーイーシーには、シーイーシーグループ各社の知見や役割を踏まえて全体を統括し、短期間での構築およびその後のスムーズな運用への期待を挙げています。「シーイーシー上海は特に中間膜事業部との付き合いが深く、企業間の壁を越えた1つのチームとしての開発実績が豊富で、チーム内に豊富なノウハウも継承されています。また、業務の内容にも熟知しているので、深い部分までサポートしてもらうことが可能です。一方でシーイーシーには、それぞれ異なる役割を担っているシーイーシー上海、大分シーイーシーを、我々が仲介せずともコーディネートしてくれる点に大きな魅力を感じました」

シーイーシーへの要望は、24時間365日稼働の厳しい稼働が近々予定されている中で、常時システムのパフォーマンスを測定する監視ツールをスピーディーに稼働させることでした。方式設計から開発、稼働に至るまで積水化学工業とシーイーシーは、定例ミーティングに加え、適宜、方式の実現性の議論を加えながら、プロジェクトを推進しました。

積水化学工業株式会社 経営管理部 情報システムグループ担当課長 石川 治 氏
積水化学工業株式会社
経営管理部
情報システムグループ担当課長
石川 治 氏

同社 経営管理部 情報システムグループ担当課長 石川 治氏は、SEMT開発プロジェクトにおいて特に留意した点についてこう話します。「約3ヶ月という短期間で完成させなければならないので、ともすれば“あれができるならばこれもやりたい”となりがちなのをぐっと堪えて、達成目標レベルのベースラインを見失わないようにし、期日どおりのシステムリリースを最優先しました」

その結果、3月27日にSEMTは計画通り稼働を開始しました。このようなスピード開発の成功には、シーイーシーの貢献度が高かったと石川氏は見ています。

「当初の狙い通り、役割の異なるシーイーシー各社の連携をシーイーシーが主導してくれたため、これだけのスピード感のある開発が、まったくトラブルもなく実現できたのだと考えます」

今後の展望

さらなる安定運用に向けて

SEMTによるグローバルERPの稼働状況の測定開始からまだ日は浅いものの、小笹氏はパフォーマンスの変化および動向が見えてきたとしています。「定点観測の結果を定量的かつ視覚的にも捉えることができるようになりました。このモニタリングを続けることで、将来、パフォーマンスが悪化する傾向や、突発的に悪くなる前の兆候などを把握できるようになるのではと期待しています」

高原氏は、システムの監視体制の構築を評価しています。「グローバルERPの稼働状況のモニタリングは、我々のビジネスや業務を下支えするシステムの安定稼働への取り組みとして、事業を推進する側にも安心感となります」

現在、ERPのグローバル展開や、今回のSEMTの開発とは別に、開発から本番までの各環境におけるMicrosoft Dynamics AXの画面の色分けのような細やかな運用保守機能の拡充、毎月新機能を本番環境に適用する際の本番リリース自動化システムも、シーイーシーに依頼してともに開発を進めています。

小笹氏、高原氏、石川氏

「現在はほとんど手作業のため、時間もかかりますしミスのおそれもあります。そこで時間短縮とミスの撲滅を同時に実現するために、シーイーシーに協力をお願いしています。シーイーシーは長年にわたってMicrosoft Dynamics AXに携わっていますので、システムの特徴を熟知しており安心してお任せできます」と、小笹氏は笑顔で話します。

最後に高原氏は、今後の展望についてこう力強く語りました。「中間膜事業部としては、グローバルERPをより一層、攻めの経営へと活かしていきたいと考えています。具体的には、Microsoft Dynamics AXに蓄積されたデータを基に、さまざまなトレンドを分析し、需要予測の精度向上にも活用できないかと考えています」

グローバル展開を続ける積水化学工業ERP

積水化学工業株式会社(中間膜事業部)
積水化学工業株式会社(中間膜事業部)

本 社 :
【大阪本社】大阪市北区西天満2丁目4番4号
【東京本社】東京都港区虎ノ門2丁目3番17号
代表者 :
代表取締役会長 根岸 修史
代表取締役社長 髙下 貞二
設 立 :
1947年3月3日
従業員数 :
23,006名(2017年3月期連結ベース)
事業内容 :
住宅カンパニー住宅事業、リフォーム事業、不動産事業、住生活サービス事業 環境・ライフラインカンパニー配管・インフラ分野、建築・住環境分野、機能材料分野 高機能プラスチックスカンパニーエレクトロニクス分野、車輌・輸送分野、住インフラ材分野、ライフサイエンス分野、他産業分野
URL :
https://www.sekisui.co.jp/
積水化学工業株式会社(中間膜事業部)

※製品名・企業名・役職名など、記載の情報は取材時のもので、閲覧時には変更されている可能性があります。

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